荒川流域防災学習プログラム

≪令和4年度新入学を迎える新入生保護者の皆様へ≫

『令和4年度川口市立南中学校入学説明会申請入力フォーム』のURLならびにQRコードを公開しております。詳細は本HP(このページ)の左段の『メニュー』より『転入・新入学』のページよりご覧いただけます。※今までの更新情報は、上記の『転入・新入学』ページに移動しました。


2月25日(金)『荒川流域防災学習』が行われました。

 南中学校は災害時の緊急避難場所の一つとして市内で指定されています。実際に東日本大震災の際、帰宅困難者の受け入れなどを行いました。

 しかし、それも10年以上前の出来事です。当時の生徒たちはもちろん、先生たちも全員入れ替わっています。いつ起こるかわからないけれど、いつ起こってもおかしくない自然災害へ備えることは大切なことです。

 避難所となる南中、実際に災害が発生して”避難所を開設する”となったとき、どういった対応をすべきなのか、なにができるのか、そうしたことを考えるきっかけとして、『荒川流域防災学習』を実施しました。

 今回はJTBさんの『JTB地球いきいきプロジェクト』に参加する形で実施することができました。

 

 参加した生徒は約45人。今回はコロナ禍ということもあり、人数を制限した形で実施しました(本来であれば、もっとたくさんの生徒、地域の方々などもお呼びしたかったのですが…)。

 講師となっていただいたのは、東日本大震災の際に実際の避難所運営の責任者として活躍された防災アドバイザーの吉田亮一さんです。たくさんのお話と、実演を交えたわかりやすいお話をしてくださいました。

 

 

 『受付班』や『情報班』『炊出班』『設営班』など、生徒も先生たちも、全員がそれぞれの役割を持ち、避難所を運営をしていきます。

実際の避難所でも、中学生は自分たちのできることで立派な力となったそうです。全員で協力して運営していく避難所での生活で、お客様は誰もいないのです。

 

それぞの班の活動の様子です。

【受付班】 

 まずは、避難所に何人いるのか、どれくらい、何が必要なのか、を正しく把握することが必要です。大人も含めた全員が『受付』を通ります。住所ごと、世帯ごとの人数を把握していきます。感染症対策のため、受付の担当は専用のガウンを着用して対応します(コロナ禍だから、ということだけではなく、その他感染症が避難所に蔓延すると、避難所にいる全員が危険な状態になる可能性があるのです)。

【総務班】

 『総務班』は、避難所で起きていることをリアルタイムで集計していきます。他の部署からの連絡がどんどん入ってきて、それをまとめます。そうすることで、避難所の人たちの次の動き、が分かってきます。また、時間を計測することで明日以降の活動も”いつから始めれば〇〇時までに間に合う”といったスケジュールが立てやすくなります。総務班の活動も大切です。

【情報班】

 『情報班』は、新聞記事、行政が発行したお知らせ、避難所の人たちからの要請、近隣の避難所の状況など、更新される情報を壁に掲示していきます。通信網や電気などが遮断されたり、普段の生活では簡単に得られる情報も、災害時には情報のストップが予想されます。実際の避難所でも、最後の頼みの綱は『紙媒体』による情報だったそうです。

 吉田さんから貸していただいた東日本大震災時の新聞を掲示していきました。当時の状況がとても鮮明に記された新聞記事を、生徒たちも真剣に読んでいました。

【物資班】

 『物資班』は、避難所に届けれた支援物資を集積し、種類ごとに仕分け個数を数えます。実際の避難所も自衛隊や赤十字から支援物資が輸送されてきましたが、混乱する状況の中で”どんな品物が””どれくらい”入ってくるかは届いてみないとわからない…。そんな状況の中、「今ある物資を正しく把握して、避難所の人たちに公平に分配する」ためには、物資班の役割は重要です。

 

【設営班】

 『設営班』は仮設テントの設営やブルーシートの展開、一人当たりのスペースの確保などを行っていきます。何世帯の人たちがいるのか、その中に乳児や幼児はいるのか、介護や介助が必要な人はいるのか、これも避難所ごとに状況は違います。着替える場所やトイレなども大切です。

 今回は、実際に学校の災害用備蓄倉庫(災害時に使用する様々な物資が南中には保管されています)から仮設テントやブルーシートなどを出して展開しました。

 写真に映っているいるテントは2人で簡単に広がる仮設テントです。大きさは縦横高さともに180㎝の大きさです(思ったより大きく広がってびっくり!!)。万が一に備えて、南中にはこうした準備も整えられています。

【衛生班】&【伝達班】

 『衛生班』は避難所にとって最大の課題の一つである『衛生問題』について対応します。”飲み水の確保はどうするのか””もし、普通のトイレが使えなくなったら…””避難している人に病気、けがの人がいたら…”と少し考えるだけでも保健と衛生の問題は普段の生活以上に大きな課題です。実際の避難所でも、飲み水の確保は大きな問題でした。

 ペットボトルの飲料水の備蓄の準備、トイレなどに使う水はプールの水を使います。大きなポリバケツに、プールから水をくみ上げてきたりしました。

 『伝達班』は各班の進捗状況を、避難所の責任者と総務班に伝達していきます。また、各班の状況に合わせて、応援を派遣したり時間の調整を行ったりもします。指示伝達をしながら、各班の間を始終走り回っていました。

 【炊出班】

 『炊出班』は避難所の炊き出しを行います。今回は”生徒それぞれの家族が一緒の避難所にいる”想定で避難所をつくったので、避難所にいる人数はおよそ170人となります。それだけの人数分の食料を確保するのは大変です。もちろん、ライフラインは寸断されている想定なので、火をおこすことから始めていきます。マッチで火をつけ、薪を燃やして、お湯を作っていきます。今回は50人分の『アルファ米』を作っていきました。

 『アルファ米』も災害時用に備蓄されている非常食です。お湯を入れてしばらく待つだけで炊けるご飯です(ちなみにわかめご飯になっているので、おかずがなくてもOK)。 

 

 

 

 

 

 生徒も先生たちも一緒になっての活動でした。ほとんどが初体験のものばかりで戸惑う場面もありましたが、それぞれがそれぞれの立場で一生懸命活動していました。2時間あまりの活動内容でしたが「避難所を開設して、運営していくこと」の流れを体験し、そしてその大変さを知りました。実施までの準備や打ち合わせなども入念に行いましたが、いざやってみるとなると、全然違いものです。

  もちろん、普段通りの生活が毎日続くことが一番です。けれど、”災害はいつ起こってもおかしくない””もし、万が一が起きた時には…”と常に考えていくことが必要だし、大切なことだと改めて感じることができた荒川流域防災学習でした(生徒たちだけでなく、先生たちにとっても貴重な体験になりました)。

 講師に来ていただいた吉田亮一さん、サポートしていただいたJTBのみなさん、ありがとうございました。

 

※2月25日(金)テレビ埼玉『ニュース545』と『ニュース930』にて、この活動を紹介していただきました。ありがとうございました。

https://www.teletama.jp/news/20220225.html#5g748qox3wjocb70